戸籍61通
お兄様が亡くなったということで、Aさんが無料相談にお越しになりました。お兄様の妻は既に亡くなっており、二人の間にお子様がいない為、お兄様の妹であるAさんが相続人代表として手続きを行うこととなったのですが、Aさんには兄弟が多く、どうやって進めたらいいかと途方にくれていました。
お話をお聞きしたところ、Aさんは12人兄弟姉妹の末っ子で、上の兄弟姉妹も姉一人を除いては既に亡くなっており、その姉も含め、年の近い兄家族やお兄様以外とは長年交流がないとのことでした。亡くなられているご兄弟の子(Aさんの甥や姪)も相続人となる旨を説明しましたが、甥や姪には過去に1度会ったことがあるかどうかという程度で、近況は全く知らないという状況でした。
また財産内容を調査したところ、お兄様の相続財産は銀行預金が主で、ご自宅不動産はお兄様の妻名義となっていました。妻はお兄様より先に亡くなっており、妻の相続手続も行う必要があります。ただ妻には兄弟姉妹がおらず、その子(代襲相続人)もいないということなので、すべてお兄様が相続することとなり、自宅不動産もお兄様の遺産分割の対象となります。
早速、相続人確定の為に戸籍取得を開始しました。第三順位である兄弟が相続する場合には、被相続人の死亡から出生までの戸籍に加え、直系尊属の死亡から出生までの戸籍、兄弟姉妹の現在戸籍、亡くなっている場合には被代襲者(亡くなっている兄弟姉妹)の死亡までの戸籍、そして代襲者(甥姪)の現在戸籍…等を取得しなければなりません。
お兄様の妻の相続人については、ご兄弟がいたものの幼少期に死別しており、配偶者であるお兄様しかいないことが判明しました。
お兄様の相続人については、12人兄弟で転籍や養子縁組、離婚が複雑に絡み合い、多数の戸籍取得を要しました。ようやく12名の相続人が確定しましたが、その為に取得した戸籍は計61通に及びました。
各相続人の住所も調査し、Aさんより皆様にお手紙を出していただきました。甥姪10名については、早々に協力をする旨のご連絡をいただきましたが、お姉様については高齢ということもありなかなか連絡がスムーズにいきません。それでも何度もご連絡をして何とかご協力をいただくことができ、相続人12名による遺産分割協議が無事まとまりました。
Aさんは、61通の積み重なった戸籍をご覧になり、驚くとともに相続手続の煩雑さを改めてご認識されたようです。Aさんからは相談してよかったとのお言葉をいただきました。
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