赤の斜線引いた遺言書は無効 原判決を破棄 ― 最高裁
遺言書の文面全体の左上から右下にかけて赤色のボールペンで1本の斜線が引かれていた。斜線は遺言者が故意に引いた。この場合、遺言書が民法1024条前段所定の「故意に遺言書を破棄したとき」に該当し、遺言を撤回したものとみなされるかどうかが争われた事案で最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)は、みなされないとした原判決を破棄、第1審判決を取り消すとともに、遺言が無効であることを確認した。裁判官全員一致の意見による逆転判決。
上告人と被上告人の父である亡きAが作成した昭和61年6月22日付自筆証書(遺言書)による遺言について上告人が、Aが故意に遺言書を破棄、遺言を撤回したものとみなされると主張、被上告人に対し遺言が無効であることの確認を求めた。
原審は、元の文字が判読できる状態である以上、遺言書に故意に斜線を引く行為は「故意に遺言書を破棄したとき」には該当しないとして上告人の請求を棄却。最高裁は、赤色のボールペンで文面全体に斜線を引く行為は、その行為の有する一般的な意味に照らして、遺言書の全体を不要のものとし、遺言のすべての効力を失わせる意思の表れとみるのが相当であり、その行為の効力について一部の抹消の場合と同様に判断することはできないとした。
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