信義則に反するとはいえない 母の遺言の有効性確認―最高裁判所
自分の有する不動産、動産、株式等の財産全部を、2人の子の一方のXに相続させる旨の自筆証書遺言を残して母が死亡。遺産相続をめぐり子同士が法廷闘争に。
第1次訴訟は片方のYが提起。遺言の有効性は判断されず、Yの主張が一部容認される形で確定。Xは控訴審で遺言を本訴に係る請求についての抗弁として主張したが、時機に後れた攻撃防御方法に当たるとして却下された。第2次訴訟でXは遺言の有効性の確認を求めた。この事案で最高裁第二小法廷は原判決を破棄、第1審判決を取り消し、京都地裁に差し戻した。原審は信義則に反するとして却下した。
最高裁は▽Xは前訴では本訴に係る請求を争っていた。前訴の判決は双方の主張の当否の判断にとどまり、遺言の有効性について判断されなかった。本件訴えは、前件本訴とは訴訟によって実現される利益を異にする▽Yが相続分を有することが前訴で決着したと信頼し、またはXが今後、遺言の有効性を主張しないだろうと信頼したとしても、それらは合理的とはいえない▽母の医療費等の建て替え払いについてXは前件反訴で利益を得ていない。本件訴えで遺言の有効が確認されたとしても、Xが前件反訴の結果と矛盾する利益を得るとはいえない―とし、信義則に反するとはいえないと説示した。
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