そのままでは使えない遺言書「検認と開封」
遺言書が見つかった場合は、手続きの進め方がその種類によって変わります。公正証書遺言であれば、すぐに中身を確認して、そのまま手続きができます。
一方、自筆証書であれば、そのままでは使うことができません。まずは、家庭裁判所で検認という手続きが必要です。
しかし、ここで注意が必要です。せっかく検認を受けた遺言書も、使えない場合があるのです。検認の手続きは、有効か無効かを判断するものではなく、ただ、こんな遺言書がありますよということを証明する手続きだからです。書かれている内容が有効か無効かに争いがある場合は、別に裁判をして、その遺言書が有効であるという判決をもらわなくてはなりません。
お母様が亡くなられたAさんは、自筆の遺言書を持って相談に来られました。 検認の手続きを経て、遺言書の中身を確認したところ、「マンションと現金はすべてAさんに与える」という内容のものでした。 しかし、ここで問題が起こります。実は、お母様はこのマンションに、2部屋を所有しておられたのです。法務局に確認したところ、「不動産が特定できていないので遺言書による名義変更は難しい」という返答でした。せっかく作った遺言書が使えないということです。 結局は、他の法定相続人を交えて、遺産分割協議にて不動産の名義変更を行いました。相続人全員から、実印と印鑑証明を集めるのに、大変苦労されました。 当たり前の話ですが、亡くなられた後の手続きがどうなったかということは、遺言書を書かれたご本人は知る由もありません。でも、亡くなる2ヶ月前、世話になった娘のためにと、せっかく愛情をこめて遺言書を書かれたのに、その後の手続きで思いもよらず四苦八苦させてしまった……。やはり、亡くなられた方として、とても悲しいことだと思います。
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