共有不動産の相続は、どうなるの?
複数の名前で共有となっている不動産がある場合の相続は、どうなるのか?といったお話です。
A様が亡くなり、その奥様と長女が相談に来られました。亡くなられたA様は都内に一戸建てを所有し、奥様と長女が現在居住しています。登記を見ると、建物はA様と長女の共有、土地はA様と奥様と長女の共有となっていました。相続人は奥様と長女及び長男です。
「父が亡くなったので、建物は私一人だけの所有になるんですよね?」
と長女。長女は共有物件の共有者が亡くなった場合には、他の共有者に故人の持分が帰属すると思っていたようです。
相続人がいない場合には他の共有者に帰属する余地がありますが、相続人がいる場合は相続人の共有財産となります(この場合は、奥様・長女・長男)。
「相続を機に、土地も共有を解消して長女の単独所有としたいんです」と奥様。
しかし、相続に関して権利が移動するのは亡くなった故人の財産についてであり、A様の持分を相続人の合意により長女に移転することはできますが、奥様の持分を相続で移転させることはできません。別途奥様と長女の間で、売買か贈与の手続きが必要となります。
相続で奥様の持分が移転するのは、奥様に万が一のことがあった場合です。
奥様のご意向は、売買や贈与などの手続きを経ることなく、奥様が亡くなった後、最終的に土地と建物を長女の単独所有とさせたいというものでした。
A様の持分の相続については遺産分割協議書で長女が相続するという内容で合意いただき、奥様の土地の持分については遺言をご用意されることをお薦めしました。
複数の名前で共有となっている不動産がある場合の相続は、トラブルになる場合も多くありますので、事前の準備をされておくことを勧めします。
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