遺言は見つかったものの、預貯金や株式は誰に?
一年前にお父様が亡くなり、ご自身で相続手続をしようとしていたAさんからのご相談です。(相続人はお母様、Aさん、Aさんの妹の3人です。)
Aさんは、十数年前に公正証書遺言を作成してあるというお話をお父様から聞いていたため、お父様の相続手続はスムーズにできるだろうと安心していました。
お父様の死去後、話の通り公正証書遺言が見つかりました。しかし、その内容を見てみると「自宅の土地建物は長男に」と「長男を遺言執行人にする」という旨の内容は書かれていたものの、その他の財産についての指定がありません。この場合、その他の土地や預貯金や株式その他の財産はどのように相続手続を行えば良いのでしょうか?というご相談でした。
なぜこのような遺言になったのでしょうか?
本当のところは本人にしか分からない事ですが、察するに十数年前の時点で「自宅の土地建物は同居している長男に引き継いでもらえればいいな」と考え、その分のみをまず公正証書遺言として残したのかもしれません。
遺言に記載のない財産は、相続人間の遺産分割協議により誰が相続するかを決めます。
今回のご相談も、遺言には自宅の土地以外のその他の財産の指定がないため、遺言に記載のない財産をどのように引き継ぐかをお母様、Aさん、Aさんの妹の3人の相続人で遺産の分割協議を行うこととなりました。幸いなことに相続人3人とも理解があり、遺産の分割協議もスムーズに行われたため、大きな問題もなく相続手続きを終えることができました。
しかし、兄弟姉妹が不仲で話し合いでは遺産の分割協議がまとまらない場合や、一人暮らしの方が亡くなり相続人の多くがご高齢の兄弟姉妹である場合などでは、一部の財産については相続手続が進まないということも十分考えられます。
遺言の作成は専門家に相談して、残された家族が困ることなくスムーズに相続できることを念頭に作成しなければ、逆にトラブルの元になりかねないな、と実感する事例でした。
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