債権回収困難事由にあたらず 相続時の貸付債権 ― 東京地裁
相続した貸付債権を0円として行った申告についての更正処分に対し、取り消しを求めた事案で東京地裁は訴えを退けた(3月27日)。
法人の代表だった父は平成20年に死去、妻と子が相続人となり、父の同社に対する5,738万円の貸付債権を母が取得するとした遺産分割協議書を作成、相続税の申告を行った。23年に母も他界。子は母の相続で、評基通205「その他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるとき」に基づき貸付債権は存在しないとして翌年の申告を行った。しかし、同社は母の相続開始時に債権者を父とする借入金残高が5,738万円あると回答。これが母の相続財産と認定され更正処分が行われた。17年6月期から23年6月期の同社は、平均で経常利益がマイナス83万円、売上高1,905万円、債務超過額6,029万円、負債の額7,254万円、金融機関からの借入金441万円。
子は、著しい債務超過で本債権の評価額は0円、それが認められなくても、民間のコンサル会社によれば評価額は871万円であると主張。しかし地裁は、母の相続開始時に会社更生手続等は行われておらず営業は継続され、金融機関への返済が遅滞していた事実もないと指摘。871万円という独自の見解も採用はできないとした。
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